ラグビーの「世界ランキング」は、ワールドラグビー(World Rugby)が発表している各国代表の強さを示す指標です。2003年9月に導入され、テストマッチが行われるたびに更新されています。
この記事では、そのランキングがどういう仕組みで決まるのかを、実際の計算例を用いながら解説します。計算式は一見すると複雑ですが、押さえるべきポイントは3つだけです。
- ポイント交換制。勝った国が、負けた国からポイントを奪う
- 格上が勝っても、もらえるポイントは少ない。逆に格下が勝つと大きく動く
- 得失点差16点以上で1.5倍、ワールドカップなら2倍変動する
今の世界ランキングを見る
男子・女子の最新順位とポイントをスポログで公開中。勝敗ごとのポイント変動もその場で自動計算できます
ラグビー世界ランキングとは
ポイントを奪い合う「交換制」
ラグビーの世界ランキングはポイント交換制です。勝ったチームが、負けたチームの持ちポイントを奪う仕組みになっています。
各国には0点から100点までのポイントが割り当てられ、この数字が高ければ高いほど「強さ」を意味します。ランキングはこのポイント順に並んでいるだけなので、順位そのものよりもポイント差を見るほうが実力差がわかりやすいのが特徴です。
これまでの最高得点は96.57点。2016年10月にニュージーランド代表(オールブラックス)が記録しました。
ポイントが動くタイミング
ポイントは、国と国(ナショナルチーム)が対戦したあとに変動します。具体的には次のような試合です。
- 毎年6月・11月に組まれるテストマッチ(国同士の真剣勝負)
- シックスネーションズ、ラグビーチャンピオンシップなどの国際大会
- 4年に1度のラグビーワールドカップ
一方で、JAPAN XV(ジャパンフィフティーン)など正代表ではない(キャップ対象にはならない)試合は、国同士の試合とはいえ世界ランキングには一切影響しません。
ポイントの計算方法
ラグビーの世界ランキングでは、両国のポイント差(実力が拮抗した国同士の試合なのか、そうでない試合なのか)で得られるポイントが変わります。
ポイントが同じ国同士が対戦した場合
もっとも単純なケースです。勝ったチームが+1ポイント、負けたチームが−1ポイント。引き分けなら変動なしです。
ポイントが同じA国(80点)とB国(80点)が対戦し、A国が勝った場合はこうなります。
| A国 | B国 | |
|---|---|---|
| 対戦前 | 80.00 | 80.00 |
| 対戦後 | 81.00(+1.00) | 79.00(−1.00) |
ポイントに差がある国同士が対戦した場合
実際には、同じポイントの国が当たることはほとんどありません。多くはポイント差がある対戦です。
この場合、上位国が勝つ確率のほうが高いため、上位国が勝ってももらえるポイントは目減りするよう調整されています。仮にこの調整がなければ、1位の国が20位の国に勝ち続けるだけで簡単に100点へ到達してしまうからです。
| ポイントの高い国(上位国)が | |
|---|---|
| 勝った場合 | 1 −(0.1 × ポイント差)を獲得 |
| 引き分けの場合 | (0.1 × ポイント差)を失う |
| 負けた場合 | 1 +(0.1 × ポイント差)を失う |
| ポイントの低い国(下位国)が | |
|---|---|
| 勝った場合 | 1 +(0.1 × ポイント差)を獲得 |
| 引き分けの場合 | (0.1 × ポイント差)を獲得 |
| 負けた場合 | 1 −(0.1 × ポイント差)を失う |
式だけではイメージしづらいので、数字を入れて説明します。
80点のA国と75点のC国(ポイント差5点)が対戦し、上位のA国が勝った場合は下記のようになります。
| ポイント差 5点 | A国(上位) | C国(下位) |
|---|---|---|
| 対戦前 | 80.00 | 75.00 |
| 計算式 | 1 −(0.1 × 5)= 0.5 | 1 −(0.1 × 5)= 0.5 |
| 対戦後 | 80.50(+0.50) | 74.50(−0.50) |
A国にとっては、C国から0.5点を奪った形になります。
では同じ条件で、下位のC国が勝ったらどうなるでしょうか。
| ポイント差 5点 | A国(上位) | C国(下位) |
|---|---|---|
| 対戦前 | 80.00 | 75.00 |
| 計算式 | 1 +(0.1 × 5)= 1.5 | 1 +(0.1 × 5)= 1.5 |
| 対戦後 | 78.50(−1.50) | 76.50(+1.50) |
上位のA国が勝っても0.5点しか得られないのに、下位のC国が勝てば1.5点。同じ1勝でも価値が大きく異なることになります。
「アップセット」が起きるたびにランキングが大きく動くのは、この仕組みのためです。
ポイント差が10点以上の場合
では、ポイント差がさらに開くとどうなるでしょうか。
80点のA国と70点のD国(ポイント差10点)で、A国が勝った場合を計算してみます。
| ポイント差 10点 | A国(上位) | D国(下位) |
|---|---|---|
| 対戦前 | 80.00 | 70.00 |
| 計算式 | 1 −(0.1 × 10)= 0 | 1 −(0.1 × 10)= 0 |
| 対戦後 | 80.00(±0) | 70.00(±0) |
実はポイント差が10点あると、上位国は勝ってもポイントが一切増えません。
一方で、負けてしまえば下記のように大きく失ってしまいます。
| ポイント差 10点 | A国(上位) | D国(下位) |
|---|---|---|
| 対戦前 | 80.00 | 70.00 |
| 計算式 | 1 +(0.1 × 10)= 2 | 1 +(0.1 × 10)= 2 |
| 対戦後 | 78.00(−2.00) | 72.00(+2.00) |
勝っても0点、負ければ−2点。上位国にとってはかなり分の悪い勝負になります。
なおポイント差の上限は10点と決められており、15点差でも20点差でも、動く点数は最大2点のままです。
これが、ラグビー世界ランキングの基本的な仕組みになります。
ポイントを増減させる特別ルール
ラグビー世界ランキングの基本的な仕組みを理解したところで、ここからはポイントを増減させる特別ルールを説明していきます。
得失点差が16点以上なら1.5倍
ラグビー世界ランキングは、勝敗だけでなく試合内容もポイントに反映されます。得失点差が16点以上ついた場合、増減するポイントはすべて1.5倍になります。
例えば、80点のA国と75点のC国が対戦し、30対10(20点差)でA国が勝利した場合は下記のとおりです。
| ポイント差 5点得失点差 20点 | A国 | C国 |
|---|---|---|
| 対戦前 | 80.00 | 75.00 |
| 計算式 | 1 −(0.1 × 5)= 0.5 | 1 −(0.1 × 5)= 0.5 |
| 得失点差(×1.5) | 0.5 × 1.5 = 0.75 | 0.5 × 1.5 = 0.75 |
| 対戦後 | 80.75(+0.75) | 74.25(−0.75) |
つまり、ランキングを上げたいなら16点差以上つけて勝つことがポイントになります。
一方、負ける側も15点差以内に抑えることができれば、失点を小さくすることができます。
ワールドカップなら2倍
4年に1度のラグビーワールドカップでは、増減するポイントが2倍になります。
例えば、80点のA国と70点のD国がワールドカップで対戦し、20対30でD国が勝った場合は下記の通りです。
| ポイント差 10点W杯 | A国 | D国 |
|---|---|---|
| 対戦前 | 80.00 | 70.00 |
| 計算式 | 1 +(0.1 × 10)= 2 | 1 +(0.1 × 10)= 2 |
| W杯(×2) | 2 × 2 = 4 | 2 × 2 = 4 |
| 対戦後 | 76.00(−4.00) | 74.00(+4.00) |
1試合で4点の増減。ワールドカップでの1勝がいかに重いかがわかります。
ホームアドバンテージ(2026年7月に廃止)
かつては、ホームで戦う国のポイントに一時的に3点を加算してから計算するルールがありました。移動がなく、慣れた環境で、サポーターの声援を受けられる有利さを打ち消すための調整です。しかしワールドラグビーの規定改定により、2026年7月をもってこのホーム加点は廃止されました。現在はどこで試合をしても、ポイント差はそのまま計算されます。
参考までに、廃止前はこう計算されていました。
80点のA国と75点のC国がA国で対戦する場合、A国は一時的に83点として扱われ、ポイント差は5点ではなく8点として計算されます。
| 旧ルールポイント差 8点 | A国(ホーム) | C国(アウェイ) |
|---|---|---|
| 対戦前 | 80.00 + 3.00 = 83.00 | 75.00 |
| 計算式 | 1 +(0.1 × 8)= 1.8 | 1 +(0.1 × 8)= 1.8 |
| 対戦後(C国が勝利) | 78.20(−1.80) | 76.80(+1.80) |
そのため、ホームで下位国に負けると、通常より失うポイントが多くなるシステムだったのです。
実例:2015年 日本 vs 南アフリカ
ではここで、実際の試合で確かめてみましょう。
2015年に開催されたラグビーワールドカップ・イングランド大会では、下位国の日本が上位国の南アフリカに34対32で勝利しました。
その時のポイント増減は下記のとおりです。
| ポイント差 13.09点 | 南アフリカ | 日本 |
|---|---|---|
| 対戦前のポイント | 85.15 | 72.06 |
| 対戦前の世界ランク | 3位 | 13位 |
| 試合結果 | 34対32で日本が勝利 | |
| 計算式(差は上限10点) | 1 +(0.1 × 10)= 2 | 1 +(0.1 × 10)= 2 |
| W杯(×2) | 2 × 2 = 4 | 2 × 2 = 4 |
| 対戦後のポイント | 81.15(−4.00) | 76.06(+4.00) |
| 対戦後の世界ランク | 6位(−3) | 11位(+2) |
ポイント差13.09点という大きな開きがありながら、日本が勝利。ワールドカップの2倍補正も効いて、1試合で±4点も変動しました。
13.09点というポイント差は、上限の10点を遥かに上回っている数字で、実力差は一目瞭然。
この試合が「スポーツ史上最大の番狂わせ」と呼ばれる理由は、数字にもはっきり表れていたのです。
日本代表のテストマッチ一覧を見る
1932年以降の全戦績。各国に対する勝率も掲載しています
よくある質問
世界ランキングはいつ更新されますか?
テストマッチが行われた数日後に更新されます。試合のない時期は変動しません。6月・11月のテストマッチ期間や、シックスネーションズ、ラグビーチャンピオンシップの開催中は毎週のように順位が入れ替わります。
男子と女子でランキングは別ですか?
別々に管理されています。それぞれ独立したポイントと順位を持っています。
ポイントの上限・下限はありますか?
0点から100点の範囲です。これまでの最高記録は2016年10月にニュージーランドが記録した96.57点で、100点に到達した国はありません。
JAPAN XV(ジャパンフィフティーン)の試合はランキングに影響しますか?
影響しません。ランキングに反映されるのは、テストマッチと認定された「正代表」の試合のみです。
上位国に勝つとどれくらい上がりますか?
ポイント差にもよりますが、基本は上限2点です。その上で、16点差以上の勝利であれば1.5倍、ワールドカップなら2倍の補正が入るため、最大で6点動く可能性があります。
まとめ
本記事では、ラグビー世界ランキングの決め方と、ポイント計算の仕組みについて解説しました。最後に要点をもう一度整理しておきます。
- 勝った国が負けた国からポイントを奪う交換制
- ポイント差が開くほど、上位国が勝ってもうまみは小さい
- 得失点差16点以上で1.5倍、ワールドカップで2倍
- ホーム加点(+3点)は2026年7月に廃止
世界ランキングは「今どの国が強いか」を示すだけのものではありません。このランキングをもとにラグビーワールドカップの組み合わせ抽選が行われるため、順位によって本大会での有利・不利まで変わります。
また、この仕組みを知っていると、テストマッチの見え方も変わってきます。両国のポイント差はどれくらい開いているのか、勝つだけでなく何点差で勝つのか。そんなところにも注目しながら、テストマッチを楽しんでみてください。
スポログでは、ポイントの増減を自動で計算できるラグビー世界ランキング計算機を公開していますので、ぜひお試しください。
ラグビー世界ランキング計算機を試す
試合後のポイント変動を、事前にシミュレーションできます
トップに戻る
ラグビー